ここでは、日本の「専門学校」を卒業した留学生が、学生ビザから就労ビザ(技術・人文知識・国際業務)に変更する場合、どのようなケースで許可が出て、どのようなケースで不許可になるのか、ご紹介します。

大卒の資格がなく、日本の専門学校を卒業して就職をする場合には、大卒者よりも業務内容と学校で学んだことの「関連性」がより求められる点にも十分気をつけましょう。

日本で就職しようとしている留学生も、外国人を採用しようとする企業も、必ずお互いに採用の場面ではしっかりと要件を満たしていることを確認してください。

 

目次

国際業務 (翻訳・通訳) を業務内容とする場合に気をつけること

 

・専門学校で学んだ授業の内容との関連性がある

・実際に翻訳 ・通訳業務をすることができる能力がある (能力を証明できるようにする)

・就職先に翻訳・通訳を必要とする十分な業務量が実際にある (具体的な仕事内容を説明する)

・日本語の基礎レベルの授業は、翻訳・通訳業務に必要な科目としては認められない

 

 

許可された事例

 

事例に登場する学科:

マンガ・アニメーション科、ゲームクリエーター学科、ロボット・機械学科、情報システム開発学科、国際IT科、電気工学科、建築室内設計科、自動車整備科、美容科、国際コミュニケーション学科、国際ビジネス学科、観光学科、通訳翻訳学科、声優学科、イラストレーション学科、ジュエリーデザイン科、など

 

許可された事例 1 ゲーム開発

専門学校:マンガ・アニメーション科、ゲーム理論・CG・プログラミング等を履修

就職先:コンピュータ関連サービスを業務内容とする企業

仕事の内容:ゲーム開発業務

 

許可された事例 2 工事施工図の作成・現場指揮・監督

専門学校:電気工学科

就職先:TV・コンピューター LAN等の電気工事の設計・施工を業務内容とする企業

仕事の内容:工事施工図の作成、現場職人の指揮・監督業務

 

許可された事例 3 建築積算

専門学校:建築室内設計科

就職先:建築設計・設計監理・建築積算を業務内容とする企業

仕事の内容:建築積算業務

 

許可された事例 4 自動車の基幹部分の点検・整備

専門学校:自動車整備科

就職先:自動車の点検整備・配送・保管を業務内容とする企業

仕事の内容:エンジンやブレーキ等、自動車の基幹部分の点検・整備・分解業務と自動車検査業務

 

許可された事例 5 ホームページの構築・システム構築

専門学校:国際IT科でプログラミング等を履修

就職先:金属部品製造を業務内容とする企業

仕事の内容:ホームページの構築、プログラミングによるシステム構築等の業務

 

許可された事例 6 美容製品の商品開発・マーケティング業務

専門学校:美容科

就職先:化粧品販売会社

仕事の内容:ビューティーアドバイザーとしての、美容製品の商品開発・マーケティング業務

 

許可された事例 7 ゲームの発信・ゲームアプリのカスタマーサポート

専門学校:ゲームクリエーター学科で3DCG・企画プレゼン・ゲー ムシナリオ・制作管理などを履修

就職先:ITコンサルタント企業

仕事の内容:ゲームプランナーとしての、海外向けゲームの発信・ゲームアプリのカスタマーサポート業務

 

許可された事例 8 図面の確認・プログラム作成等

専門学校:ロボット・機械学科で CAD・電子回路・マイコン制御などを履修

就職先:工作機械設計・製造を行う企業

仕事の内容:部品図面の確認・加工設備のプログラム作成等の業務

 

許可された事例 9 プログラム作成・ネットワーク構築

専門学校:情報システム開発学科でプログラミング・ットワーク技術などを履修

就職先:電気機械・器具製造を行う企業

仕事の内容:現場作業用システムのプログラム作成・ネットワーク構築業務

 

許可された事例 10 外国人スタッフ の接遇教育・管理

専門学校:国際コミュニケーション学科で異文化コミュニケーション・キャリアデザイン・観光サービス論などを履修

就職先:人材派遣・人材育成・研修サービス事業を運営する企業

仕事の内容:外国人スタッフ の接遇教育・管理等のマネジメント業務

 

許可された事例 11 アルバイトスタッフの採用・教育

専門学校:国際ビジネス学科で観光概論・ホテル演習・フードサービス論・簿記などを履修

就職先:飲食店経営会社の本社事業開発室

仕事の内容:アルバイトスタッフの採用・教育・入社説明資料の作成業務

 

許可された事例 12 ホテルのフロント業務など

専門学校:観光・レジャーサービス学科で旅行業務・セールスマーケテ ィング・ホスピタリティ論などを履修

就職先:大型リゾートホテル

仕事の内容:「総合職」採用で、主にフロントでの翻訳・通訳業務・予約管理・顧客満足度分析業務を行うが、一部にレストランにおける接客もあり。(→レストランでの接客は本来なら「技術・ 人文知識・国際業務」に該当しないが、他の総合職採用の日本人従業員と同様の業務を行うため、許可)

 

許可された事例 13 加工設備のプログラム作成など

専門学校:ロボット・機械学科で基礎製図・CAD・電子回などを履修

就職先:金属工作機械を製造する企業

仕事の内容:加工設備のプログラム作成・作機械の組立業務など。(→組立業務は単純作業で、「技術・ 人文知識・国際業務」に該当しないと判断される可能性もあるが、同じ業務に従事する日本人は大学の理工学部を卒業した人であり、給与も日本人と同額であったため許可。)

 

許可された事例 13 翻訳

専門学校:翻訳・通訳学科 (通訳概論・言語学・通訳演習・通訳実務等を履修)

就職先:出版社

仕事の内容:出版物の翻訳

 

許可された事例 14 通訳・翻訳

専門学校:国際ビジネス学科 (貿易論・経営学・ビジネス通訳実務・ビジネス翻訳実務などを履修)

就職先:商社

仕事の内容:海外事業部での商談の通訳・契約資料の翻訳業務

 

許可された事例 15 通訳

専門学校:国際教養学科 (経営学・会計学・英語・日本語・ビジネスコミュニケーションなどを履修)

就職先:商社

仕事の内容:渉外調整での通訳業務

(専門学校では経営学などがメインであったが、70単位中、英語・日本語・ビジネスコミュニケーションなどの取得単位が30単位あり、日本語能力試験N1にも合格していたため、許可)

 

不許可になった事例 ~専攻科目との関連性がないケース~

不許可事例 1 : 関連性なし

専門学校:声優学科

就職先:外国人客が多く訪れるホテル

仕事の内容:ロビースタッフとしての翻訳・通訳業務

不許可の理由:専門学校で専攻した科目との関連性が認められず不許可

 

不許可事例 2 : 関連性なし

専門学校:イラストレーション学科

就職先:人材派遣を業務内容とする企業

仕事の内容:外国人客が多く訪れる店舗での翻訳・通訳を伴う衣類の販売業務

不許可の理由:専門学校で専攻した科目との関連性が認められず、実務経験もないため不許可

 

不許可事例 3 : 関連性なし

専門学校:ジュエリーデザイン科

就職先:コンピュータ関連サービスを業務とする企業

仕事の内容:外国人客からの相談対応・翻訳・通訳業務

不許可の理由:専門学校で専攻した科目との関連性が認められず不許可

 

不許可事例 4 : 関連性なし

専門学校:国際ビジネス学科 (英語を中心に履修、その他通関業務・経営基礎等も少し履修あり)

就職先:不動産業を営む企業

仕事の内容:販売営業業務

不許可の理由:専門学校で専攻した科目との関連性が認められず不許可。(不動産や販売営業の知識に関連している科目の履修が少ない)

不許可事例 5 : 関連性なし

専門学校:国際ビジネス学科 (経営戦略・貿易実務・国際関係論等を履修)

就職先:運送会社

仕事の内容:アルバイト指導のための翻訳・通訳業務と労務管理

不許可の理由:専門学校で専攻した科目との関連性が認められず不許可

 

不許可事例 6 : 関連性なし

専門学校:国際コミュニケーション学科 (接遇・異文化コミュニケー ション・観光サービス論等を履修)

就職先:飲食店を運営する企業

仕事の内容:店舗管理・商品開発・店舗開発・販促企画業務

不許可の理由:専門学校で専攻した科目との関連性が認められず不許可(担当業務は経営理論・マーケティング等の知識が必要であるため)

 

不許可事例 7 : 関連性なし

専門学校:接遇学科 (ホテル概論・日本文化・接遇概論等を履修)

就職先:エンジニアの労働者派遣会社

仕事の内容:外国人従業員の管理・監督・教育・労務管理業務

不許可の理由:専門学校で専攻した科目との関連性が認められず不許可(担当業務は経営理論・マーケティング等の知識が必要であるため)

 

不許可になった事例 ~関連性以外で不許可になったケース~

不許可事例 8 : 給与が日本人よりも低い

専門学校:日中通訳翻訳学科

就職先:輸出入業を営む企業

仕事の内容:海外企業との契約書類の翻訳業務・商談時の通訳業務

不許可の理由:同じ仕事をする日本人の報酬よりも低いため不許可 (申請人の月給17万円、日本人は20万円)

 

不許可事例 9 : 主な業務の業務量が少ない

専門学校:情報システム工学科

就職先:料理店を経営する企業

仕事の内容:会社の会計管理・労務管理・顧客管理業務

不許可の理由:従業員が12名の会社であるため、会計管理・労務管理を主な仕事内容とするのには十分な業務量がない。また、顧客管理業務(電話での予約受付)は「技術・人文知識・国際業務」に該当しないので、不許可。

 

不許可事例 10 : 「技術・人文知識・国際業務」に該当しない

専門学校:ベンチャービジネス学科

就職先:バイクの修理・改造・輸出入を業務内容とする企業

仕事の内容:バイクの修理・改造業務

不許可の理由:具体的な仕事の内容は、パンクしたタイヤの付け替えなどであったため、これは「技術・人文知識・国際業務」に該当しないので、不許可。

 

不許可事例 11 : 「技術・人文知識・国際業務」に該当しない

専門学校:国際情報ビジネス科

就職先:古電子製品の輸出・販売等を業務内容とする企業

仕事の内容:電子製品のチ ェックと修理業務

不許可の理由:具体的な仕事の内容は、パソコンのバックアップの作成・ハードウェアの部品交換等であったため、これは「技術・人文知識・国際業務」に該当しないので、不許可。

 

不許可事例 12 : 在留状況不良

専門学校:授業の出席率70%

不許可の理由:出席率の低さの理由は病気によるものだと説明があったが、実際は学校を休んで資格外活動を行なっていたたことがわかり、不許可。

 

不許可事例 13 : 「技術・人文知識・国際業務」に該当しない

就職先:ビルメンテナンス会社

仕事の内容:将来受け入れる予定の外国人従業員にたいしての通訳業務。受け入れ開始までは、清掃業務。

不許可の理由:将来の外国人受け入れについての具体的な予定がなく、清掃業務は「技術・人文知識・国際業務」に該当しないので、不許可。

 

不許可事例 14 : 過去に外国人に単純作業を長期間行わせていた

就職先:ホテル

仕事の内容:予約管理・通訳業務。ただし、研修期間の1年間は、レストランでの配膳業務・客室清掃業。

不許可の理由:このホテルで過去に採用された外国人が、予定していた研修期間を大幅に超えて配膳業務・客室清掃を行なっていたことがわかったため、不許可。

 

不許可事例 15 : 「技術・人文知識・国際業務」に該当しない

就職先:人材派遣会社

仕事の内容:派遣先(小売店)での翻訳・通訳業務。

不許可の理由:契約書の職務内容には「店舗のスタッフ」を書かれていた。具体的な仕事内容を派遣先に確認したところ、接客販売をしてもらう予定だとわかった。接客販売は、「技術・人文知識・国際業務」に該当しないので、不許可。

 

不許可事例 16 : 技術実習生と同じ仕事内容

就職先:電気部品の加工会社

仕事の内容:工場での部品の加工・組み立て・検査・梱包業務。

不許可の理由:この工場には技能実習生が在籍しているが、仕事の内容が技能実習生とほとんど同じであったため、単純作業とみなされ、不許可。

 

不許可事例 17 : 単純作業と判断された

専門学校:栄養 (食品化学・臨床栄養学・調理実習などを履修)

就職先:菓子工場

仕事の内容:洋菓子の製造業務。

不許可の理由:洋菓子の製造業務は、反復訓練によって行える業務(単純作業)であると判断され、不許可。

 

不許可事例 18 : 翻訳・通訳に必要な授業の単位が足りない

専門学校:CAD・IT学科

仕事の内容:翻訳・通訳

不許可の理由:日本語の授業は卒業単位の2割しかなく、しかも留学生向けの基礎レベルの授業であったため、不許可。

 

不許可事例 19 : 翻訳・通訳に必要な能力がない

専門学校:国際コミュニケーション学科 (日本語の文法・通訳技法等を履修)

仕事の内容:翻訳・通訳 (日本語が堪能であることが必要)

不許可の理由:成績証明書を確認したところ、日本語の科目はすべてC判定(最低評価)であったため、業務をきちんと行えるとは認められず、不許可。

 

不許可事例 20 : 翻訳・通訳の必要性と業務量不足

専門学校:通訳・翻訳専門学校

仕事の内容:ビル清掃会社で、留学生アルバイトへの通訳とマニュアルの翻訳

不許可の理由:留学生アルバイトへの通訳の必要性が認められない。また、マニュアルの翻訳は常に必要な業務ではなく、業務量が少なすぎるため、不許可。

 

不許可事例 21 : 翻訳・通訳の必要性と業務量不足

専門学校:通訳・翻訳専門学校

仕事の内容:飲食店での翻訳・通訳

不許可の理由:実際の業務内容は飲食店で、英語で注文をとることであり、翻訳もメニューの翻訳のみであった。通訳としては簡易すぎて、翻訳については業務量が少なすぎるため不許可。

 

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