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フィリピン国籍の方との国際結婚手続き
日本人とフィリピン国籍の方が結婚する場合、日本とフィリピンそれぞれの婚姻要件を満たす必要があります。
年齢の要件は以下の通りです。
(家族法 第5条) Any male or female of the age of eighteen years or upwards not under any of the impediments mentioned in Articles 37 and 38, may contract marriage.
フィリピンでの婚姻可能年齢:男性18歳・女性18歳
(民法 第731条) 婚姻は、18歳にならなければ、することができない。
日本での婚姻可能年齢:男女ともに18歳
また、日本とフィリピンのどちらで先に婚姻手続きをするのかによって、手続きの流れ・方法が変わります。
そのため、ここでは「A.日本で先に手続き」「B.フィリピンで先に手続き」の両方の流れをご説明します。
[相手のフィリピン人の方が、日本の在留資格を持っていて日本に住んでいる場合]
日本で婚姻の手続きをした方が楽に進められるでしょう。
婚姻手続きだけでなく、「日本人の配偶者ビザ」への変更も事前に検討しておきましょう。
[相手のフィリピン人の方が、フィリピン在住の場合]
日本人の方がフィリピンに行って手続きを行うのが望ましいと言えます。
仮に、日本で手続きをしたい場合には、フィリピンから日本に来るために「短期滞在ビザ」を取得し、そのビザの有効期限内に全ての婚姻に関する手続きを終えなければなりませんので、事前に綿密なスケジュールの計画・調整が必要です。
ただし、1日も早く日本に来て一緒に生活したという想いがあるカップルも多く、当事務所にも「短期滞在ビザで来日して婚姻手続きをし、配偶者ビザの取得もしたい」という相談が多く寄せられています。
その場合には、当事務所でお客様と相談の上スケジュールを設定し、短期滞在ビザ〜婚姻手続き〜配偶者ビザへの変更までトータルでサポートいたしますので、お気軽にご相談ください。
A. 日本で先に婚姻の手続きをする場合
①:在日本フィリピン大使館で「婚姻要件具備証明書 (LCCM)」の取得
↓
②:日本の市区町村役場での婚姻手続き
↓
③:フィリピンへの婚姻報告(結婚登記)
短期滞在ビザでも大丈夫?
→ 日本で先に婚姻手続きをする場合、フィリピン人の方の「婚姻要件具備証明書 (LCCM)」を市区町村役場に提出する必要があります。
過去には、フィリピン大使館ではフィリピン人が短期滞在で日本を訪れている場合にはこの証明書を発行しない時期もありました。
現時点では発行可能なようですが、フィリピン大使館での対応が変わることもあるため、随時確認が必要です。
(2019年10月時点での情報)
①:フィリピン人の方の「婚姻要件具備証明書 (LCCM)」の取得
必要な書類 (English: Legal Capacity to Contract Marriage / Certification (LCCM))
日本人が用意する書類 |
1. 戸籍謄本 (3ヶ月以内に発行されたもの) (原本+コピー1部) |
2. [再婚の方で、1.の戸籍謄本に前配偶者との婚姻、離婚、死別の記載が無い場合] 改正原戸籍または除籍謄本 |
3. 有効な「パスポート」また「公的な写真付き身分証明書」 (原本+コピー1部) |
4. 証明写真 3枚 (パスポートサイズのもの) |
初婚のフィリピン人が用意するもの | 離婚歴のあるフィリピン人が用意するもの |
1. 「申請用紙」(大使館ホームページからダウンロード可能) |
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2. 証明写真 3枚 (パスポートサイズのもの) |
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3. 有効な「パスポート」(原本+コピー1部) |
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4. 「在留カード」または「日本での在留資格がわかるもの」(原本+コピー 1部) |
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5. 「出生証明書」PSA発行*&フィリピン外務省認証済み*のもの(原本+コピー 1部) |
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6. 「独身証明書」(CENOMAR) PSA発行*&フィリピン外務省認証済み*のもの (原本+コピー 1部) |
6. 「婚姻記録証明書」 PSA発行*&フィリピン外務省認証済み*のもの (原本+コピー 1部) |
18歳から25歳の初婚フィリピン国籍者が用意するもの
7. 両親の同意宣誓供述書または承諾宣誓書 a) 18歳以上20歳以下の場合 : 「両親の同意書」 b) 21歳以上25歳以下の場合 : 「両親の承諾書」
*両親がフィリピンに住んでいる場合: 両親の同意書や承諾書はフィリピン国内の公証役場で公証し、フィリピン外務省にて認証済み*のもの。
*両親が日本に住んでいる場合: (大使館で作成)
*両親が亡くなられている場合: 「死亡証明書」 PSA発行*&フィリピン外務省認証済み*のもの |
7. 「結婚証明書」 PSA発行*&フィリピン外務省認証済み*のもの もしくは「婚姻届(離婚承認注釈付き)」 (原本+コピー 1部) |
8. 「外国離婚承認審判書」と「確定証明書」 フィリピン裁判所発行&フィリピン外務省認証済み*のもの (原本+コピー 1部) |
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9. 日本国内における離婚の記録
戸籍謄本(離婚日の記載があるもの)
受理証明書(離婚日の記載があるもの) |
②:日本の市区町村役場での婚姻手続き
場所:日本の市区町村役場
必要な書類
※市区町村役場により必要書類が異なりますので、事前に問い合わせて、必要書類を確認しましょう。
日本人が用意する書類 | フィリピン人が用意する書類 |
1. 戸籍謄本 (本籍地管轄の役場の場合は不要) |
1. 婚姻要件具備証明書 (日本語訳も添付) |
2. 婚姻届 |
2. パスポート (原本) または 国籍証明書(国籍証明書の場合、日本語訳も添付) |
3. 「出生証明書」 PSA発行*&フィリピン外務省認証済み*のもの |
③:フィリピンへの婚姻報告
二人そろって、在日本フィリピン共和国大使館で手続きをします。
必要な書類
日本人が用意する書類 | フィリピン人が用意する書類 |
1.「婚姻届申請用紙」 |
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2.「婚姻届の記載事項証明書」 (原本+コピー4部) |
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3. 返信用封筒レターパック510 (郵便局またはコンビニで購入可能) |
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*フィリピンへの婚姻届が、日本での婚姻後30日以降になってしまった場合 4.「婚姻届の届出遅延供述書」 |
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1. 「戸籍謄本」 ※婚姻事実の記載のあるもの (原本+コピー4部) |
1. パスポート (原本+コピー4部) |
2. パスポート (原本+コピー4部) | 2. 証明写真 4枚 (パスポートサイズのもの) |
3. 証明写真 4枚 (パスポートサイズのもの) |
B. フィリピンで先に婚姻の手続きをする場合
①:在フィリピン日本大使館で「婚姻要件具備証明書」を取得
Apply for and receive a Certificate of Legal Capacity to Contract Marriage (This can be done at the Embassy of Japan in the Philippines (Manila) or Consular Offices of Japan in Cebu and Davao
↓
②:フィリピンの市区町村役場で「婚姻許可証」を取得
Apply for and receive a Marriage License (at the city hall of the municipality where the Philippine national resides)
↓
③:フィリピンでの結婚式と、「結婚証明書」の取得
Legally marry, sign the Marriage Contract and forward to local civil registry.
↓
④:日本の市区町村役場、または日本国大使館/総領事館で「婚姻報告」
Submit a report of marriage form to the appropriate Japanese officials (either to the city hall of Japanese national’s place of residence or the Embassy of Japan in the Philippines (Manila) or Consular Offices of Japan in Cebu and Davao)
①:在フィリピン日本大使館 で婚姻要件具備証明書を取得
If a Japanese national wishes to contract a marriage with a Filipino national, the Japanese national must first apply for and receive in person, a Certificate of Legal Capacity to Contract Marriage from the Embassy of Japan in the Philippines (Manila) or Consular Offices of Japan in Cebu and Davao.
場所:在フィリピン日本国大使館 (マニラ・在セブ領事事務所・在ダバオ総領事館)
必要な書類
用意する書類 |
1. 申請書 (大使館に備付け) 在フィリピン日本国大使館のWebサイトでも参照可能です 「婚姻要件具備証明申請書」「記入見本」 |
2. 日本人の方のパスポート (原本およびコピー) |
3. 日本人の方の戸籍謄(抄)本 (3カ月以内に取得したもの) 注意点 ※婚姻歴のある方: 婚姻要件具備証明書にその事実も記載し、「離婚証明書」も作成されます。 戸籍謄(抄)本に前婚の婚姻・婚姻解消 (離婚等) の事実が記載されていることが必要です。 記載されていない場合は、その事実の記載があるまでさかのぼって、「改製原戸籍」または「除籍謄本」も用意します。
※初婚の方でも、分籍などでご本人が戸籍の筆頭者になっている場合: 過去の婚姻歴が無いことを確認するため、戸籍が編製された理由 (分籍等) の事実が記載されていることを確認してください。 記載されていない場合は、その事実の記載があるまでさかのぼって、「改製原戸籍」または「除籍謄本」も用意します。 |
4. フィリピン人婚約者の出生証明書謄本 PSA発行*&フィリピン外務省認証済み*のもの、もしくは市役所発行のもの ※印刷が不鮮明で氏名等が確認できない場合は、有効な「パスポート」または「洗礼証明書」が必要です。 Certified True Copy of Birth Certificate * (with original stamp/seal of a true copy, from PSA (former NSO) or Local Civil Registrar) * IF BIRTH CERTIFICATE IS UNREADABLE: please also present a valid passport, any valid government issued photo ID (Driver’s License, Postal ID etc.) or BAPTISMAL CERTIFICATE |
※未成年者の場合: 5. 両親等法定代理人の婚姻同意書 |
②:フィリピンの市区町村役場で婚姻許可証を取得
After receiving the LEGAL CAPACITY TO CONTRACT MARRIAGE, both parties must proceed to the city hall of the Philippine national’s place of residence and apply for the MARRIAGE LICENSE.
場所:フィリピン人の方が居住している市区町村の役場
①で取得した「婚姻要件具備証明書」を持参して、市区町村役場で手続きをします。
手続きに必要な書類等については、各市区町村役場にご確認ください。
Please refer all questions regarding the procedures and requirements necessary to apply for your marriage license directly to the local civil registrar
「婚姻許可証」は申請者の氏名等が10日間継続して地方民事登録官事務所に公示された後、問題がなければ発行されます。
この婚姻許可証の有効期間は 120日です。
Upon submission of requirements for the MARRIAGE LICENSE, details regarding the application will be posted for 10 consecutive days inside the city hall.
The MARRIAGE LICENSE will be released after this 10 day period of publication.
Once issued, the MARRIAGE LICENSE is valid in any part of the Philippines for 120 days.
③:フィリピンでの結婚式と、結婚証明書の取得
The MARRIAGE CEREMONY must be solemnized by an individual with proper legal authority to do so.
After this ceremony, the presiding official, the husband, wife and witnesses must sign the MARRIAGE CERTIFICATE.
フィリピンでは、婚姻を挙行できる権限のある者が法律で定められています。
※婚姻挙行担当官:牧師、裁判官など
・この婚姻挙行担当官と成人2名以上の証人の前で婚姻の宣誓
↓
・婚姻当事者と証人が婚姻証明書に署名
↓
・婚姻挙行担当官が認証
↓
・婚姻が成立
婚姻後15日以内に、「婚姻証明書」が婚姻挙行担当官より挙行地のフィリピン市町村役場に送付され、地方民事登記官により登録が行われます。
登録が完了すると、市区町村役場にて「婚姻証明書の謄本」(Certified True Copy of Marriage Certificate)を入手することができます。
この婚姻証明書の謄本は、日本の婚姻届提出 の際に必要となります。
The signed MARRIAGE CERTIFICATE shall be forwarded by the presiding official to the city hall and registered at the local civil registry where the marriage was solemnized.
Please make sure to get CERTIFIED TRUE COPIES of the registered MARRIAGE CERTIFICATE as these will be needed to report the marriage to Japanese authorities.
④:日本の市区町村役場、または日本国大使館/総領事館で婚姻報告
※フィリピンで婚姻が成立した後、3ヶ月以内に日本の役所にも婚姻届を提出します。
Japanese nationals are legally obligated to submit a report of marriage to the city hall of their place of residence in Japan, or to the Embassy of Japan in the Philippines (Manila) or Consular Offices of Japan in Cebu and Davao, WITHIN 3 MONTHS of entering into a contract of marriage with a Philippine national.
必要な書類
*市区町村役場により必要書類が異なりますので、事前に問い合わせて、必要書類を確認しましょう。
2人が用意する書類 | フィリピン人が用意する書類 |
1. 婚姻届 |
1. パスポート (原本) または 国籍証明書(国籍証明書の場合、日本語訳も添付) |
2. 婚姻証明書 (日本語翻訳を添付) |
2. 「出生証明書」 PSA発行*&フィリピン外務省認証済み*のもの |
・日本に帰国しないため、在フィリピン日本国大使館に届け出る場合:
1. 戸籍謄(抄)本 2通
2. フィリピン人の方の出生証明書+日本語訳文 各2通
3. 婚姻証明書+日本語訳文 各2通
4. 婚姻要件具備証明書のコピー 1通
5. 婚姻許可証+婚姻許可証申請書のコピー 各1通
6. パスポート(本人確認のため)
The following documents are required in submitting the report of marriage to the Embassy of Japan in the Philippines (Manila) or Consular Offices of Japan in Cebu and Davao.
(2 copies each, unless otherwise stated).
1. Certified true copy of the Japanese National’s JAPANESE FAMILY REGISTER (KOSEKI TOHON)
2. Certified true copy of the Philippine National’s BIRTH CERTIFICATE and Japanese translation
3. Certified true copy of the MARRIAGE CERTIFICATE and Japanese translation
4. Photocopy of the CERTIFICATE OF LEGAL CAPACITY TO CONTRACT MARRIAGE 1 COPY
5. Photocopy of the MARRIAGE LICENSE and MARRIAGE LICENSE APPLICATION FORM 1 COPY
6. Passport / Valid ID of person submitting the marriage report
(参考) 配偶者ビザの手続きなど
配偶者ビザ(日本人の配偶者等)とは? 審査のポイントも解説!